教科と苦手対策
国語の読解でつまずく小学生|「読めない」の中身の見分け方
国語の読解が苦手という状態は、文字を追う作業と、意味を理解する作業が別々に止まっていることがあります。音読・要約・設問文の3つで切り分ける手順と、設問の種類ごとに必要な力が違う理由を整理しました。
この記事について
- こんな方に向けています
- 子どもが国語の読解問題でつまずいており、家庭でどう対応すべきか知りたい保護者
- 読み終えたときの状態
- 「読めない」がどこで止まっているかを特定し、家庭で最初に変える箇所を1つ決められる状態
本を読むのは好きで、音読も詰まらずにできる。それなのに国語のテストで文章問題になると点が落ちる。逆に、音読自体がたどたどしく、一文読むのに時間がかかる子もいます。どちらも保護者からは同じ「国語が苦手」に見えますが、頭の中で起きていることは別です。
算数の苦手はテストの答案に手が止まった跡が残るため、原因の見当がつけやすくなっています。国語の読解は、正解できなかった理由が「読めていない」のひとことでまとめられがちで、実際にどこで止まっているのかが答案からは読み取りにくい教科です。同じ対応をどの子にも当てはめると、すでにできている作業を繰り返させるだけになり、止まっている場所には手が届きません。
ここでは、読解でのつまずきをいくつかの型に分けて見分ける手順と、設問の種類によって必要な力が変わる理由、家庭で対応できる範囲の見極め方を扱います。
「読めない」は音読とは別の場所で起きていることがある
読解の土台には、文字を音に変える作業と、その音の並びから意味を取り出す作業という、2つの層があります。低学年のうちはこの2つが未分化で、文字を追うだけで手一杯な子もいれば、すでに文字を追う作業が自動化していて、意味を考える余力が残っている子もいます。
音読がすらすらできるのに設問に答えられない場合、止まっているのは意味を取り出す側です。文字は正しく音になっているのに、その内容が頭の中に場面として残っていません。一方、音読の時点で詰まる、読み飛ばす、同じ行を読み直すという様子があるなら、文字を追う作業そのものにまだ注意力が取られています。この状態では、内容を考える段階まで注意が届きません。
この2つを同じ「読解が苦手」として扱い、どちらにも同じ問題集を与えると、前者には易しすぎて力がつかず、後者には難しすぎて負荷だけが残ります。
家庭でできる3つの切り分け
原因の見当は、次の3つを順番に試すとおおむねつきます。特別な教材は不要で、いま使っている教科書やドリルの文章で足ります。
- 音読させて、詰まる場所を数えます。 同じ行を読み直す、助詞を読み飛ばす、知っている漢字でも止まるという様子が繰り返し出るなら、文字を追う作業自体が安定していません
- 音読させたあと、本を閉じて内容を口頭で説明させます。 場面や登場人物の行動がおおむね言えるなら、意味は入っています。何も出てこない、あるいは自分の想像で話を作ってしまう場合は、文字は追えていても意味が残っていません
- 設問文だけを音読させ、何を聞かれているか言わせます。 「なぜですか、と聞かれている」と言えるなら設問の理解は問題ありません。ここで止まる子は、本文ではなく設問の条件を読み落としています
3つとも同じ日に試す必要はありません。1と2は続けて、3は別の日に試すと、疲れによる崩れを混同せずに済みます。
つまずきの型で、最初にやることが変わる
見分けがついたら、型に応じて対応を変えます。型は4つに分かれ、対応する場所もそれぞれ違います。
| 文字を追うのに精一杯 | 語彙が足りず意味が抜ける | 文章の構造がつかめない | 設問の条件を読み落とす | |
|---|---|---|---|---|
| 見えている様子 | 音読が詰まる、読み飛ばす、読み直す | 音読は流暢だが内容を話せない | 指示語や接続語のところで意味がずれる | 本文は言えるのに答えが的外れになる |
| 確かめ方 | 音読を聞いて詰まる回数を数える | 音読後に内容を口頭で説明させる | 「これ」「それ」が指す言葉を聞く | 設問文だけを音読させ、聞かれている内容を言わせる |
| 最初にやること | 音読の量を増やす。黙読の練習は後回し | 短い文章に絞り、範囲を狭めて繰り返す | 指示語が出るたびに、指す言葉を指でたどらせる | 設問文に線を引かせてから本文を読ませる |
| 避けたいこと | 内容理解の問題集を先に増やす | 語彙リストを丸暗記させる | 長文で一気に練習する | 本文の読み直しだけを繰り返させる |
型は重なることもあります。その場合は表の左にある型から手をつけます。文字を追う作業が安定していない状態で語彙を増やしても、増やした語彙を使う場面まで注意が届きません。
設問の種類によっても、必要な力は変わる
同じ文章題でも、設問の種類によって求められている作業は違います。この違いを保護者が知っておくと、テストの間違え方から次にやることが決めやすくなります。
- 心情を問う設問では、本文中の行動や会話から気持ちを読み取ります。自分の経験に置き換えて答えると、本文にない答えになりやすい設問です。答えの根拠になる一文を本文から指させると、想像で埋めているかどうかが分かります
- 内容が本文と合っているかを選ぶ設問では、選択肢を1つずつ本文と照らし合わせる作業が要ります。全体の印象で選ぶと、部分的に違う選択肢に引っかかります。選んだあと、違うと判断した選択肢について「どこが本文と違うか」を言わせると、照合ができているか確認できます
- 理由を書かせる設問では、本文中の原因と結果の関係を見つけ、それを設問の聞き方に合わせて書き直します。原因は分かっているのに文末が「〜だから」の形になっていないために減点される場合、読解ではなく答え方の型の問題です
同じ子でも、設問の種類によって正答率が大きく変わることがあります。テストが返ってきたら、間違えた設問の種類を数回分並べて、偏りがないかを確認してください。特定の種類だけ続けて落としているなら、そこが次に扱う場所です。
算数の文章題で止まっているように見える場合
算数の文章題が解けない原因が、計算ではなく読解にあることは珍しくありません。問題文を保護者が読み上げて解けるなら、止まっているのは算数ではなく文字を読む作業のほうです。この切り分け方は算数が苦手な小学生への対応でも扱っていますが、読解でつまずいている子は、国語だけでなく算数の文章題、社会や理科の資料読み取りにも同じ形で影響が出ます。国語のテストの点数だけを見て判断すると、この広がりを見落とします。
読解と作文は別の作業として扱う
「読解が苦手だから、たくさん書かせて慣れさせる」という対応は、多くの場合すれ違います。読解は与えられた文章から意味を取り出す作業で、作文は自分の中から材料を出して組み立てる作業です。必要な力の向きが逆になっています。
読解でつまずいている子に作文を増やしても、読み取る力は鍛えられません。逆に、読解はできるのに書けない子もいます。両方が苦手に見える場合でも、どちらが先に止まっているかで対応の順番は変わります。作文側の止まり方については小学生が作文を書けないとき、どこで止まっているかで扱っています。
家庭で抱えきれなくなる線
読解の指導は、間違えた箇所を指摘するだけでは進みません。次のうち2つ以上に当てはまる場合は、家庭の外に読み手を置く段階だと考えられます。
- 設問の種類ごとの偏りを確認しても、どこから手をつければよいか判断がつかない
- 音読や説明をさせるたびに衝突が起き、文章に向かうこと自体を嫌がるようになっている
- 学年が上がり、記述式の設問や複数の文章を比べる形式が増えてきた
外部を使う場合は、テキストの内容そのものを扱ってもらえるかを確認してください。丸つけと点数だけが返る形式では、どの設問の種類で止まっているかが分からないままになります。指導の形態によって、この扱い方には差があります。個別に見てもらう場合と集団で進む場合の違いは個別指導と集団指導はどう選び分けるかで整理しています。
保護者が読み手と採点者を兼ねる負担についても、作文の場合と同じことが起きます。指摘する側と生活を管理する側が同じ人だと、間違いの指摘が能力の評価として受け取られやすくなります。この線引きは家庭学習で保護者はどこまで関わるかで扱っています。
次にやること
今週のうちにできることは3つです。
- いま使っている教科書かドリルの文章で、音読・内容の口頭説明・設問文の音読を順番に試します。同じ日にまとめて行わず、様子を見ながら分けます
- 返ってきたテストを数回分並べ、間違えた設問の種類に偏りがないか確認します
- 表の4つの型から当てはまるものを1つ選び、最初にやることだけを1つ試します
2〜3週間ほど続けたら、最初に試した音読と口頭説明を、同じ文章ではなく別の文章でもう一度試してください。詰まる回数が減り、説明できる内容が増えていれば、見立ては合っています。変化がない場合は、型の見立てを1つ手前に戻すか、設問の種類の偏りをもう一度確認します。